• テキストサイズ

カラフルⅡ【気象系BL小説】

第19章 不言色(いわぬいろ)


その日は終始元気のないニノを励ますように色々話して、深夜まで過ごした。


夜半になって、やっとニノは元気を取り戻した。


けど、やっぱりなんで泣いていたのか俺に話すことはなかった。


帰り際、ニノが玄関で照れくさそうに俺に礼を言った。


「いいよ…じゃあ今度なんかしてもらおうかな…」


「え?まじで?奴隷?」


「ふ…バーカ。じゃあな、おやすみ」


「うん…ありがとう。翔さん…」


かわいらしく首を傾げてニノは微笑んだ。




帰りの車中、ずっと頬が熱かった。




その夜、夢を見た。


若い…若いころの夢…


皆まだ痩せてる。


身体が細くて、華奢だ。


あれはどこだっだろう。


野外のイベントで、バックステージで皆で水を掛けあって遊んでいた…


若かったなあ…


なんて、みんなといっしょに水を掛けながら、年を取った俺は思っていた。


水が乾いた土に染み渡って、踏みつけた草と土の匂いが濃く周りにたちこめている。


冷たい水が頬をかすめていく、その温度まで思い出した。


あれはどこだったろう。


はっきりと思い出せない。


ぼんやりと回りの風景が見える。


皆の笑い声が響いている。

/ 1015ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp