第19章 不言色(いわぬいろ)
マネにニノを送ることを告げて、地下の駐車場まで急いで歩いた。
群がるスタッフさんたちを避けて、エレベーターに乗り込む。
地下まで行くと、ニノの手を掴んで車まで歩いた。
「今日、たまたま自分の車で来てたんだよ」
そう話しかけてみたけど、返事はなかった。
「どっか飯でも行く?」
そう聞いても返事はない。
振り返ってニノを見たら、俯いている。
まだ泣いているのか。
こんな状態じゃ居酒屋なんか連れていけないしな…
「家まで送ろうか?」
そう言うと、コクリと頷いた。
ニノを助手席に乗り込ませてドアを閉めた。
そういえば二人で車に乗るのなんか久しぶりかもしれない。
「家、どのへんだっけ。教えてくれる?」
そう声を掛けると、また無言で頷いた。
局の駐車場を出ると、車内は無言で。
ひたすら車を走らせていると、たまにニノが家への道を示す。
そのまま滑るように車は走っていった。
大きなマンションに着いた。
ニノに言われてカードキーで地下駐車場に入る。
客用スペースに駐めると、ニノが俺の服の袖を引いた。
「寄って行って…?」