第18章 ポンパドール scene2
智がぺろりと朝食を平らげてしまうと、後片付け。
自分で食べたものだからと茶碗を洗う智の後ろで、背中を眺める。
「どうしたの?なんか俺に話があるの?」
「…うん…」
「なに?」
きゅっと水栓を閉じて、手を拭きながら智が振り返る。
「…真剣な話みたいだね…」
「うん…」
「じゃ、リビング行こうか」
智に手を引かれながらリビングに行くと、ソファに座らされた。
智もその隣に座る。
「どうしたの?潤」
俺のこと覗きこむ目は、不安に満ちている。
俺は目を閉じて、顔を手で覆った。
「智…浮気してるよね?」
「えっ…」
「ニノと…」
「潤…」
「認める?認めない?」
こんな言い方をしたら、追い詰めるだけだってわかってるんだけど…
「…認める…」
「俺の何がいけなかったの?」
「え?」
「そんなに、俺に不満があるの?」
「違うよ…」
「じゃあなんでニノと浮気したの?」
「……それは……」
智が口ごもってしまうのは、想定内だった。
そりゃ、言えないよね…
たまには男になりたかったんだって。
言いにくいよね。恋人には。