第18章 ポンパドール scene2
ホテルは、エグゼクティブスイート。
上階の部屋の少ないフロア。
ここだったら別々に入れば、わからない。
エレベータに別々に乗り込んで、先に部屋に入る。
暫く経ったらノックの音。
ドアを開けると、切なげな顔のニノが立ってた。
顎をしゃくって中に入れる。
「ねえ…潤。どうしたの?」
ニノが口火を切った。
「なにが?」
コーヒーを淹れながら、俺はニノの顔を見ない。
「なんで突然こんなこと…」
「コーヒー、ブラックでいいよな?」
「潤!」
テーブルにコーヒーを置いて、ソファに腰掛けて足を組む。
「座ったら?」
黙ってニノは向かいに座った。
「こんなのダメだよ…。大野さんを裏切ることになるよ?」
もうお前らは裏切ってる癖に…
何言ってんだよ。
いらっとしてクッションを投げつけた。
びくっと身体を強張らせて、ニノは俺を見た。
「潤…何があったの?大野さんとケンカしたの?」
この期に及んで、自分たちの関係がバレてないと思ってるなんて。
おめでたい頭してんな…
俺はふっと笑うと、コーヒーに口をつけた。
苦い味が口に広がる。