第18章 ポンパドール scene2
だんだんそのまま凹んできた。
智のパーカーに涙の染みができた。
「やば…俺…」
慌てて服の裾でパーカーを擦った。
涙の染みはヘンな形に広がった。
ネイビーだからいっか…
そのままパーカーをクローゼットに仕舞った。
そのままバスルームへ行って、汗と涙を洗い流した。
風呂あがり、洗面所の大きな鏡を見ながら、自分の前髪をポンパドールにしてみた。
ちょっとかわいいじゃねえか。
そのまま寝室へ行って、智を揺り起こす。
「智…ねえ…」
「んー…?あ、潤おかえり」
「ただいま。ね。抱っこして?」
「え?俺がするの?」
「うん。だめ?」
「いいよお。んふ…」
智は微笑んで腕を広げる。
「潤、ポンパドールかわいいね」
そう言ってふんわりと抱きしめてくれた。
寝てたからか、智はとっても温かかった。
「あ、潤いい匂い…」
くんくんと鼻を鳴らすと、ふふっとまた笑った。
俺は智にぎゅっと抱きついた。
「どうしたの?今日の潤はあまえんぼだね」
「ん…智…」
「なあに?」
「好きだよ」
「俺も。潤が好きだよ」
ぎゅううっと抱きしめあうと、俺の中の不安が飛んで行くようだった。