第18章 ポンパドール scene2
「潤はさ、大野さんといると幸せ?」
「え?」
「幸せでしょ?」
「え…うん…そりゃもちろん」
「それだけじゃだめなの?」
ニノの言葉が頭に残った。
帰りのタクシーの中で、ずっと幸せってなんだっけって考えてた。
家についてリビングに入ると、テレビを点けたまま、智がソファで眠ってる。
テレビを消して智の寝顔に見入る。
「しあわせ…」
智のぷっくりとしたほっぺたを指で撫でると、くすぐったそうに智が身じろぎする。
その姿を見て、ふっと笑みが溢れる。
そっと智を抱き上げて寝室へ行く。
ベッドに寝かせると布団を被せた。
「おやすみ。ハニー…」
ジャケットをハンガーに掛けて、クローゼットに仕舞った。
ふとみると、隣に智のよれよれのパーカーが掛かってる。
「あー…今度新しいの買ってくるか…」
手に取ると、今日のニノのヨレヨレの格好が目に浮かんだ。
……なんで
なんで智、俺と居てくれるんだろ。
窮屈じゃないのかな…
ニノと居たほうが、智は楽なんじゃないの…?
俺と居ると、あれしろこれしろってやかましいとか思ったりしないのかな…