第17章 ショコラ scene2
気がついたら朝になってた。
寝室のカーテンの間から、朝日が漏れてる。
そっと雅紀を起こさないように起き上がると、寝顔を眺めた。
「ふふ…ついこの前まで、こいつ犬だったんだよな…」
前髪をふわふわと撫でていたら、急にいたずらごころが湧き上がった。
「黒…」
その瞬間、雅紀が飛び起きて俺の顔を見た。
凄くキラキラした目で俺の事を見ると、俺に抱きついてきた。
「ま、雅紀!?」
そのまま雅紀は俺の唇をべろべろと舐めると、「わおーん!」と天に向かって吠えた。
瞬間、雅紀の身体から黒い犬が駆け出していった。
窓に向かって走って行くと、一度俺を振り返って、にっこり笑った気がした。
そのまま黒い犬は窓をすり抜けて出て行った。
「…オイ…いつ来たんだよ…」
雅紀を見ると、眠っていた。
「なんだよ…黒のやつ…」
礼でも言いに来たのかな…
それとも、アイツ。
俺のこと好きになったのかな…
「まさか、な…」
「んー…?なあに?翔ちゃん…」
「なんでもないよ」
俺は雅紀の身体をぎゅうっと抱きしめた。
「雅紀、愛してるよ」
「んふ…知ってる」
雅紀も俺の身体をギュッとだきしめた。
「俺も愛してるよ、翔ちゃん」
「知ってる」
ぎゅうううっと俺たちは抱き合った。
雅紀。
お前にどんな本物さんが憑いたって、俺、お前のこと見失わない。
いつでもお前のこと、見てるよ。
だから…お前も。
俺のこと、ずっとおばけよけにつかってくれよな。
一生だぞ。
「翔ちゃん」
「ん?」
「わん!」
「えっ!?黒!?」
「うっそー!」
「てめえ…シャレになんねえんだよ!」
「ごめんてー!」
「許さん!」