第17章 ショコラ scene2
雅紀がベッドから飛び降りて一目散に逃げていく。
「待てこら!」
「きゃあああ翔ちゃんこわーい!」
シーツを纏ったまま逃げていく雅紀は、背中に羽が生えたみたいに見えて。
まっぱの俺は思わずシーツを掴んで手繰り寄せ、力いっぱい抱きしめた。
「翔ちゃん…?」
「バカおまえ…どこもいくな…」
「いかないよ…」
「俺から離れるな」
「うん…」
雅紀は俺の腕をほどいてニッコリ微笑むと、俺の手を引いてリビングに入った。
雅紀の纏ってるシーツを踏まないよう足元に気を取られてあるいてたら、雅紀が急に立ち止まった。
「雅紀?」
突然雅紀が俺の首に腕を絡ませてキスしてきた。
「ん…」
甘い…
唇を離すと、雅紀が笑う。
「ハッピーバレンタイン…」
口の中にカカオの香りと、甘いキスの味が広がった。
「美味しい?」
「おいしい…」
雅紀はチョコレートをまた口に放り込むと、俺に唇を寄せた。
「目、閉じて?」
目を閉じたら、雅紀の香りとチョコレートの甘い味。
口の中で絡みあう、俺の舌と雅紀の舌…
「んふ…良かった…犬から人間に戻れて…」
「全くだよ…」
パサリ、雅紀の纏っていたシーツが床に落ちた。
「ねえ…翔ちゃん…」
「ん…シャワーしてからな?」
潤んだ瞳の雅紀の頬にキスをして、俺達は手を繋いでバスルームに向かった。
「翔ちゃん、大好き…」
「俺なんか愛してるもんね…」
「あ、ずるい。俺も愛してるもん」
「俺のほうが愛してるもんね…」
「いーや…俺の方が…」
SWEET SWEET CHOCOLAT…
【END】