第1章 しあわせはここにある-parallel-
大野さんをぎゅっと抱きしめると、身体が細くなっていることに気づいた。
なんでもっと早く気付かなかった。
もしかして、ずっとこんな目にあっていたのか…
今だけじゃなく。
そう思ったらぞっとした。
そのまま離せないでいると、翔さんが俺の肩をたたいた。
「病院、連れてってあげよ…」
翔さんの目にも涙が溜まっていた。
その後、大野さんは事務所の人間に、懇意にしている病院に連れていかれた。
俺達はライブの打ち上げがあるから出ないわけにいかなかった。
でもお通夜みたいな顔した俺たちを、スタッフさんたちは訝しげにみていた。
なにがあったかは、事務所の人間しか知らない。
大野は膝の怪我でこれないと説明されていた。
俺と翔さんは比較的隠せていたとは思うが、潤と相葉さんはダメだった。
この二人は神経が細すぎる。
特に潤はナイーブだから、顔に出まくってる。
相葉さんは魂が抜けたみたいになってた。
ジュニアの連中は、事件を知ってるやつと知らないやつがいて、なんとか知らないやつを煽って打ち上げを盛り上げた。
俺達の姿は、滑稽だったと思う。