第17章 ショコラ scene2
先生は顔をしかめた。
「すいません…たくさんいらっしゃい過ぎて、どの方か…」
ひええええ!先生どんだけ見えてんだよ!!
「あの、ちょっと太ったおっさん!ちびの!」
「ああ、あの方ですか…」
先生は鳥居の近くまで歩んでいくとじっと佇んだ。
何かブツブツ言っているが、俺には何を言っているのかわからなかった。
その間も黒は別の方向に向かって吠え続ける。
「よし、あのおっさんだな」
「今度はあのおっさんか」
その度に、智くんは黒に確認していく。
俺はわけが分からなくて、呆然と立っているしかなかった。
「おし!全部で7人だな!」
「7人!?智くん、それでオッケー!」
「えっ?そうなの?」
「巣鴨プリズンで処刑されたA級戦犯の人は7人!」
「あ、そうなんだ!わかった!」
智くんは誰も人の居ないところを一生懸命見てる。
先生がこちらに駆け戻ってきた。
「土肥原大将からいきましょう」
「えっ…土肥原大将!?」
いきなり大物…
先生が雅紀の手を取って広場の隅まで走りだした。
「黒っ…おいで!」
周りには誰も他の人が居なくて、幸いだった。