第17章 ショコラ scene2
「今日は大野さんのお力を存分に発揮できると思いますよ?」
先生はニッコリ笑うと、雅紀の額に手をかざした。
こうすると、雅紀はより深く眠れるらしい。
「八王子に着くまで休ませて上げましょう」
中央道に乗った後は、俺も眠ってしまった。
連日の寝不足で、俺も体力がなくなってたみたいだ。
智くんのマネに声を掛けられて起きてみたら、もうすぐ御陵ってところだった。
昭和天皇の御陵のある武蔵陵墓地は高尾駅近くにある。
車は甲州街道を走って、高尾駅近くで右に折れる。
武蔵野墓地の入口左に駐車場があった。
バンをそこに停めて、早速中に入る。
まだ目の覚めきっていない雅紀を引きずるようにして歩く。
中は綺麗に手入れされた木々が茂っている。
伊勢神宮を思わせる広々とした通路に玉砂利が引いてある。
「うわあ…綺麗だねえ…」
智くんが目をきらきらさせながら周りを見渡している。
「さて…ここで解決すればいいんですがね…」
先生がコートの裾を翻しながら颯爽と歩く。
雅紀がいつの間にかシャッキリと目を覚ましてキョロキョロしてる。
「雅紀わかる?御陵に来たんだよ」