第17章 ショコラ scene2
雅紀、ちゃんと戻れるのかな…
また玄関で、翔ちゃんいってらっしゃいって見送ってくれるのかな…
考えてたらちょっと涙が出てきた。
雅紀は心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「きゅう…?」
どうしたの?って聞いてるみたいだった。
「なんでもない…」
ぽんぽんと頭を撫でると、引き寄せた。
「雅紀…愛してるよ…」
雅紀の目が大きく見開かれた。
くしゃって顔が歪んで、泣きだした。
「おい…なんでお前が泣いてるんだよ…」
抱き寄せると、全力で俺にしがみついてくる。
でも、言葉は出てこないみたいだった。
背中を叩いて、安心させてやる。
「大丈夫だから…雅紀…」
いやいやと首を横に振って、雅紀は泣き続ける。
俺の胸板に顔を埋めると、そのまま雅紀は泣き続けて、最終的に眠ってしまった。
「だいぶ…相葉さんが参ってますな…」
先生が後ろの座席からコートを脱いで雅紀に掛けてくれた。
「すいません…」
「いえ…私に動物の声が聴ける力があれば良かったのですが…もっと早く大野さんにお力をお借りすればよかった」
「え?俺?」
先生の隣で智くんが素っ頓狂な声を出す。