第17章 ショコラ scene2
この二人、ちょっと似てるのかも…
そう思いながら俺は雅紀を抱えてた。
「相葉さん…だいぶシンクロしてますな…」
先生が雅紀に歩み寄ってきて、額に手を当てた。
きゅーんと雅紀は鳴いて、先生を見上げる。
「八王子の御陵に行きましょう」
「えっ…」
「大野さん、あなたもついてきて貰えますか?」
「え…だって俺、仕事…」
「副社長の許可は取ってあります。問題ないそうです。それよりも相葉さんが人間の言葉をしゃべることができないほうが問題だそうで」
「あ、そうだよね。明後日から仕事なのに…」
「どうやら黒の言葉がわかるのは、大野さんしかいませんから…」
先生にそう言われて、智くんはきゅっと口を横に結んだ。
「わかりました」
「では行きましょう」
先生は客間に置いてあった、黒の長いコートを着た。
魔術でもやりそうなやつ。
「これのほうが、雰囲気が出ていいでしょう?」
そう言って先生はにやりと笑った。
やっぱ智くんと似てるかも…
事務所の車は今日バンだったから、そこに全員乗って出発した。
奥様にまた、先生は手を振った。
それを俺は、少しさみしい気持ちで見ていた。