第17章 ショコラ scene2
「相葉ちゃん、大丈夫なの?」
俺の後ろにいる雅紀を見た。
でも雅紀は俺の後ろで呆然としてる。
「ん…人の言葉がでてこないみたいなんだ…」
「翔ちゃん…」
「え?」
「えっちしてたでしょ?」
「ぶふぉっ…」
「だって…」
「わーかった!わかったから!黙れっ!」
ほんっと、このひと空気読んでくれよ…
奥様は隣でころころと笑っている。
「さ、あがって下さい。主人ももうすぐ戻ってくるでしょうから」
客間に通されてソファに座った。
雅紀は俺の膝の上に寝転がった。
さもそれが当然みたいな顔して。
俺は髪を撫でながら、遂にここまで来てしまったかと呆然とした。
「急にこうなっちゃったの?」
「うん…今朝起きたら…智くん、黒なんて言ってるの?」
「ん。懐かしくて嬉しいみたいよ?昨日どっか行った?」
「黒を飼ってた人たちが住んでたとこ」
「ん?どういうこと?」
智くんに説明するのは雅紀に説明するよりも大変だった。
「ふうん…そのセンパンの人たちの家だったとこを回ったんだ…」
「そう。昨日は普通にしてたんだけど…今朝起きたらもう…」
「そっか…嬉しすぎたのかな…」