第17章 ショコラ scene2
雅紀は俺の横にぴったりとくっついて、心配そうに俺を見てる。
髪を撫でたら、俺の肩に顔を擦り付けた。
「大丈夫だから…な?」
くぅんと鳴くから、もう力が抜ける。
「わかったから…」
知らないうちに、眠りに引きこまれていた。
夢を見た。
雅紀が俺の横を四つん這いで歩いてる。
「まっ…雅紀!立てよ!」
「わん!」
「わん、じゃねえだろ!やめてくれよ!」
「わんわん!」
雅紀はそのまま駆け出していく。
「待てよ!どこいくんだよ!」
雅紀は大勢人のいるところへ駆け込んでいって、おじさんたちにじゃれついてる。
国民服…
戦時中の国民服を着てるおじさんたちが、雅紀と一緒になって飛んで跳ねて遊んでいた。
ああ…雅紀おまえ…
突然ガクンと身体が落ちた。
「うわっ…」
目を開けるとテレビ局の楽屋に居た。
雅紀が俺の下敷きになってる。
「ご、ごめん雅紀!」
「もう…翔ちゃん、相変わらず寝相悪いんだから」
そう言って笑った。
良かった…人間だ…
俺は雅紀をぎゅっと抱きしめた。
「どうしたの?翔ちゃん…」
「雅紀…頼む。早く本物さんに出て行ってもらおうな?」
「うん…?」