第17章 ショコラ scene2
「ふうん、そっかあ。巣鴨プリズンに居た人たちって、別に悪いことしてたわけじゃないんだね」
「そうだよ。見せしめのために戦勝国に犯罪者にされただけだからね」
帰りの車で雅紀にもう一度説明を求められて、いちいち質問に答えた。
雅紀なりになにか理解したようだった。
「お前、なんか犬の気持ちわかった?」
「わかんねーよ…だいたい犬はあんまり俺に懐かないんだよな」
「え…お前あれ、番組的な演出じゃないの?」
「え?志村動物園?あれはね、ほんとに犬が寄ってこないんだよ…」
「なんでお前に憑いたんだ…その犬…」
「わかんない…」
そう言うとくすっと笑って、ぺろぺろ自分の手の甲を舐めた。
「おまえ…毛づくろいすんな」
「えっ…」
やってることに気がついて、雅紀は絶句した。
犬化が止らない…
ちょっと可愛いけど…でもまずいよな…
家に帰るとゴロンとソファに横になって、また雅紀は眠ってしまった。
やっぱ憑いてるから、いつもより体力消耗するんだよな…
さらさらと髪の毛を撫でながら、途方に暮れた。
先生がついてるから、大丈夫だとは思うんだけど…
雅紀の寝顔を見てるうちに、俺もまた眠りに吸い込まれていった。