第17章 ショコラ scene2
暫くすると襖が開いて、先生が手招きした。
客間に戻ると、雅紀は熟睡していた。
「先生、どうですか?」
「はあ…時間、かかるでしょうね…」
「言葉が通じないから?」
「ええ…こういう動物霊を相手にすることがあまりないもので…」
「方法はあるんですか?」
「動物霊の場合は、絵が視えるんです。ですから、何度も対話してなぜ相葉さんに憑いているのか、わかるまでは…」
「じゃあ…結構時間かかりますね…」
「まあそんなに影響はないと思いますけどね…人懐っこい犬みたいですし」
「…で、先生」
「はい?」
「あの…どのA級戦犯の方が飼ってた犬なんですか?」
「それが…巣鴨プリズンで飼ってた犬のようですね。だから誰とは断定できませんでした」
…ちょっと残念。
「普通の動物霊だったら、祓うだけで済むんですがね…大抵悪さをするから。でも今回は違うようなので…」
「また無理やり剥がすと、雅紀に負担がかかるんでしょう?」
「その通りです。櫻井さん、わかってきましたね」
「はい。多分、こいつよりわかってると思います」
「でしょうね」
先生はクスリと笑って、奥様を呼んだ。