第17章 ショコラ scene2
「池袋で撮影があったんです。サンシャインで。休憩のとき公園いったら石碑があって…」
「ああ…例の…」
「俺、それが何かわからないんですけど、あの石碑みてたら、なんか悲しくなってきちゃって」
先生はいつもの波平さんスタイルだった。
懐に手を入れて目を閉じた。
「しかし相葉さんらしいですね…戦犯の霊ではなく、まさかその飼い犬の霊を拾ってくるとは…」
「えっ!?センパンってなんですか!?」
ガクっと俺と先生はコケた。
「ううむ…それはですねえ…」
先生と俺で、雅紀にわかりやすいように説明した。
サンシャイン60の隣にある公園。
そこには石碑がある。
その石碑にはこう刻まれている。
「永久平和を願って」
サンシャイン60は巣鴨プリズンの跡地だ。
巣鴨プリズンとは戦後GHQにより設置された太平洋戦争の戦犯を収容する収容所だったのだ。
石碑のある場所は、その収容所に収容されていたA級戦犯を絞首刑にした場所。
つまりあの石碑は、もう間違いは繰り返しませんと、そういう意味で建てられたものなのだ。
「え…じゃあ、あれってもう戦争は二度としませんよって意味の石碑なんですよね?なんで俺、あんなに悲しくなったんだろう…」