第17章 ショコラ scene2
次の週、オフの日に先生のところに二人で伺った。
奥様は雅紀をみた途端、少し噴き出した。
「…やっぱ、犬ですか?」
「ええ…とってもかわいい黒いワンちゃん…」
「翔ちゃん…」
「でも、悪いものじゃないみたいですよ?」
奥様も視える方なのだ。
スリッパを出されて、客間に案内された。
奥様はコーヒーとホットミルクを出してくれた。
「相葉さんにはこちらのほうがいいと思って…」
「奥さん!俺、人間ですよ!」
「あら、じゃあちょっと飲んでみて?」
雅紀がふーふーしてホットミルクを飲むと、意外って顔して固まった。
「旨いんだろ」
「うん…」
「ほらあ…」
奥様はコロコロ笑うと、客間を出て行った。
「すいません…家内が…」
「いえ…ほんとに旨いからいいんです…」
そういうと、雅紀はぺろっと唇についたミルクを舐めた。
「じゃあその旨いのを飲んだら、視ましょう。とりあえず、相葉さん、その犬を拾った心当たりはありますか?」
「ええ…」
雅紀はマグカップをもったまま考えこんだ。
そういえば、ここにくるのなんであんなに嫌がったんだろう。