第17章 ショコラ scene2
聞いていて、顔が赤くなった。
俺と雅紀、そんなに太い繋がりがあるんだ…
でも先生、俺たち男同士ですよ…?
何も生さない、そんな仲なんですよ…?
「…人間というのは不思議なものです」
「えっ?」
「人間は動物です。ですからメスとオス、つまり女と男がパートナーになるのが自然です」
「はい…」
「でも人間は唯一、理性をもった生物でしょう」
「はあ」
先生が一体なにを言いたいのか、見当が付かなかった。
「大いなる意思というのは、もちろん存在します。しかし地球上の生物では、おそらく人間だけが理性を持っている」
先生はハットを外した。
「だからこそ、同性間でも愛が芽生えるのです」
大真面目な顔で先生は言い放った。
俺は尻の居心地が悪くて、どうしていいかわからなくなった。
背中を冷や汗が伝い落ちていく。
「櫻井さん。男同士というのは、罪ではありませんよ…」
先生は読心術も心得ているのだろうか。
「…ありがとうございます…」
なんとなく、心にひっかかっていた棘みたいなものを抜いてもらった気分になった。
車は自宅に向かって、軽快に走った。