第17章 ショコラ scene2
それからずっと雅紀の様子はおかしくて。
熱も無理やり測らせたけど、全然なくて。
でも顔色はずっと悪い。
でも何にもないの一点張りで、結局雅紀は俺に触れさせてくれなかった。
夜中、歯を磨こうと洗面台に向かっていたら、電気が切れた。
電球あったかなと思いながらそのまま歯を磨いていると、後ろにひやっとした感触。
「うわっ…」
思わず叫んで、洗面台の電気を点けたら雅紀が立ってた。
「おまえ…いつ入ってきたんだよ…」
「え…?今だよ?」
それにしてもおかしい。
ドア…開かなかったし…
雅紀の頬に触れてみたら、冷たかった。
「お前…まさか…」
「なんだよ…」
ぱっと雅紀に手を払われた。
こんなこと、今まで一度もされたことない。
「本物さん、憑いた?」
「えっ…?」
「お前今日どこロケ行ってたんだよ…」
「池袋…」
「ブクロのどこだよ!?」
「サンシャイン…」
「ぬお…マジか…」
巣鴨プリズン跡地ですか…そうですか…
「わかった…先生のとこ予約しとく…」
「い、嫌だよ!」
「えっ!?」
「本物さんなんか、いないもん!」
雅紀はそう言って洗面所を飛び出していった。