第16章 グレイ scene1
「ニーノ-…シャワー貸して」
「ちゃんと返してよ」
「どうやって持って帰るんだよ…」
「まじめに答えるなよ…」
「あ、でも。お前なら持って帰れるな」
そう言ってふんわりと俺を抱き寄せた。
「ばか…俺はそんな趣味ねえよ?」
「俺も、そんな趣味はねえよ?」
真面目な顔して言うことかよ…
「ほら、さっさと行っておいで」
「はいはい…」
ぱっと俺を離すと、相葉さんはバスルームへ向かった。
ちょっとだけ…気持ちよかった…
抱き寄せられて、感じた相葉さんの香り…
余韻に浸るように目を閉じた。
「ニノ…?」
目を開けたら、相葉さんが戻ってきてた。
「なに?」
「いや…タオル…」
「あ、ああ…待ってて…」
恥ずかしいところ見られた。
顔が赤い。
タオルを持って引き返すと、相葉さんはじっと床を見つめて動かない。
「どうしたの?」
「あ、ああ…」
タオルを受け取ると、相葉さんは再びリビングを出て行った。
「ふう…危ない危ない…」
相葉さんがお風呂に入ってる間、着替えを出しておいた。
あの人、ちょこちょこ来るから着替えはうちに置いてあった。