第16章 グレイ scene1
帰りの車の中でも、相葉さんは俺に抱きついてる。
お腹、熱いんだけど…
「もう…いい加減離れてくんない?」
「だってお前んちもうすぐだろ?」
「だから…」
「着いたら離してやるよ」
着かなきゃいいのに…
相葉さんの髪を撫でながら、だんだんと家に近づく景色を悲しい気持ちで眺めた。
淋しい…離れたくない…
「二宮さん、着きましたよ」
マネージャーの無情な声が聞こえる。
「相葉さん、離れて」
「ん…」
素直に身体は離れていく。
振り切るように立ちあがって車を降りた。
「じゃあ、お疲れ」
挨拶して車のドアを閉めようとした。
がしっと内側から押さえられた。
「マネージャー。俺、ニノんとこ寄ってくわ」
「え?」
マネージャーは頷いて、車を走らせた。
「ちょお…アンタ…」
「いいだろ?それともカワイコチャンでも待ってるの?」
「いねえけどさ…」
「久しぶりに上がらせてよ」
にこにこしながら俺の顔を覗き込んでくる。
もう…知らない…
コンビニに寄って、いろいろ買い込んで家に帰った。
相葉さんは勝手知ったる我が家で、ずかずか家に上がり込んでいった。