第16章 グレイ scene1
【小さな恋のSTORY】
「ねえ…翔ちゃん…」
CM撮りの合間、ソファに凭れながら雅紀が俺を呼ぶ。
「ん?なに?」
「なんか、こうやって皆で住んだら面白そうだね」
「え…なに。シェアハウス的なこと?」
「うん。面白そう」
雅紀は最近、彼女と別れたばっかで。
とっても淋しいらしい。
「いやあ…女連れ込めないんじゃ、だめじゃね?智くんとか耐えらんないでしょ?」
笑いながら言うと、とっても寂しそうな顔をした。
「そっか…だよね…」
「雅紀…」
まあ、俺も彼女はいま居ないから、淋しいのはわかる。
芸能人だから、スキャンダルにならないよう気を配りながら過ごしてるのも、限界があるし…
「今日、お前んち行ってもいい?」
「え?」
「明日、俺オフだし。久しぶりに飲もうか」
「いいの?翔ちゃん…」
「いいのって?」
「だって…明日の予定とかあるでしょ?」
「あってないようなもんだから気にすんなよ」
そう言ってやったら、雅紀は太陽のように微笑んだ。
この笑顔…癒されるなあ…
それから順調に撮影は進んで、ほぼ予定通り俺たちは現場を後にした。