第16章 グレイ scene1
【ナース服と機関銃】
「ねえ…これ、まじで俺がこっちなの?」
「いやあ…そうかいてあるけど。台本には…」
しやがれの収録中。
俺と大野さんはセット裏で、お互いの衣装を眺めてる。
俺はナース服。
大野さんは白衣で医者の格好。
「どうみても逆じゃね?俺、似合わねえよ…」
「そんなことないよ…松潤、似合うよ?」
大野さんがにこっと笑う。
「…ありがと…」
なんか、照れるじゃん…
「なんか、やらしいな…」
「えっ…」
そんな、こんながに股のナースいねえだろ…
「大野さんが着たほうが、絶対に似合うと思うけどな…」
「そう?松潤のほうが色白いし、とっても似合うよ?」
もう…ますます照れるだろ…
もじもじしてたら、大野さんがぷっと噴き出した。
「もう…笑うことないだろ…?」
「だって松潤、女装するとなんかかわいいんだもん」
その時、スタッフさんが駆けてきて、機材トラブルで撮りが伸びるって言ってきた。
「じゃあ、このまま一旦楽屋帰るか…」
大野さんがのっそりと立ちあがった。
俺も後に続いて歩いた。
「あ…」
大野さんが傍らにあったベンチコートを手にとった。
「お前、これ着とけ」
ばさっと俺に投げてよこした。
「え?なんで?」
「その格好、わいせつ物だから」
「は、はあ!?」