第16章 グレイ scene1
【ふたりの翔】
「翔くん…おいで…?」
楽屋で智くんが俺を呼ぶ。
収録は一時間ほど前に終わった。
打ち合わせも終わって、皆もう帰ってしまった。
後はもう俺たちが帰るのみとなっている。
マネージャーには俺が智くんを送ると言ってあるから、もう楽屋には誰もいなかった。
「智くん…」
智くんの上に跨ると、キスをせがむ。
「んふ…しょうがないな…」
智くんは首をかしげて俺の唇に軽く触れていく。
「いや…もっと…」
「翔くんはかわいいなぁ…」
智くんのしなやかな手が俺の頭を撫でていく。
頭の後ろを持って、智くんの方に引き寄せられる。
胸に飛び込むと、ふわっと智くんのいい匂いが漂ってきた。
胸に顔を埋めて、その香りを堪能する。
「翔くん…くすぐったいよ…」
「好き…智くん…」
「俺も…好きだよ…」
智くんの手が俺の服の裾から侵入してくる。
「あ…だめだよ…こんなとこで…」
「大丈夫だよ…もう誰もこないから」
智くんの唇が俺の首筋を這う。
ゾクゾクが背中を駆け上ってくる。
「いや…お願い智くん…」
「そんなこと言って…身体は全然嫌がってないじゃないか…」