第15章 インディゴ scene3
そっと二人の手が、俺の頬を撫でた。
あれ…何で濡れてるんだ?
「たくさん泣きなよ」
ニノの手が温かい。
潤の手も温かい。
ああ…
俺、こんなに人肌に飢えていたんだ。
毎日のように、あの二人と肌を触れ合わせていたのに、今年に入ってから一切触られなかった。
それどころか、恋人同士として会ってもくれなかった。
智くんと雅紀は二人で会ってるみたいなのに…
きっと、もう飽きたんだ。
俺の初めてあげちゃったから…満足しちゃったんだ。
またあの二人は、二人に戻った。
それだけだ。
それだけなのに…
なんで…?
なんで、飽きたならそう言ってくれないの?
塞がりきっていない傷口に爪を立てるようなこと…
「う…ぁ…」
顔を手で覆うと、身体を前に倒した。
「我慢しないで…翔ちゃん…」
ニノの手が優しく背中を擦る。
「声を上げて泣いたっていいんだよ?翔くん…」
潤の手も、俺の背中に載せられた。
「うぇっ…」
我慢できずに、声を上げて泣いた。
泣いて泣いて、吐きそうになって。
慌ててトイレに担ぎ込まれたところで、記憶は途絶えた。