第15章 インディゴ scene3
もう…本当に終わりなのかな…
グラスの中の泡がしゅわしゅわ消えていくのをじっと見た。
人の心なんてわからない。
ついこの前まで、あんなに愛し合ってると思ってたのに…
今の俺には、あの二人の背中しか見えない。
「しょ、翔ちゃん!?」
ニノの高い声が聞こえた。
「あーんだよ…」
「もうそんな空けたの?」
机の上をみたら、10本近く空き缶が転がってた。
…いつこんなに空けたんだ…?
「俺じゃねえよ…」
「アンタしか飲んでないよっ!」
だって全然酔ってない。
そりゃ酒は強いほうだけどさ…
「買ってくるよ…足りねえだろ?」
「いっ…いいよ!翔くん…座ってなって」
潤が無理やり俺をソファに座らせる。
「だって…じゃ、帰る」
「えっ…翔くんっ」
「だって俺がいたら、邪魔だろ?」
やっぱり酔ってるのかな。
これじゃ八つ当たりだ。
「邪魔だなんて…思ってたら連れて来てないよ?」
潤が真剣な顔で俺を見る。
「ごめん…」
「翔くん…」
ニノの手が俺の肩を抱いた。
「泣いてもいいよ?」
なんだよ…泣かねえよ…
「我慢しないで?翔くん…」
潤まで…だから泣かないって。