第14章 檸檬
そのまま俺たちは、カズヤと一緒に眠った。
疲れきってたから、凄くよく寝た。
お昼過ぎ、カズヤが起きだす。
「起きるの…?」
「ん。勉強しなきゃ」
「そっか…頑張れよ」
「うん」
相葉さんと翔さんはまだ眠りの淵にいる。
そっとカズヤは二人の頬にキスをした。
そして俺の前にかがむと、唇にキスを落とした。
「にーの…」
「ん?」
「ありがとうね…」
じっと俺の顔を見て、泣き出しそうになる。
「泣くなよ…」
「うん…泣かない」
パジャマの袖でぐいっと目を擦った。
「俺、頑張るから…」
「おう…」
「胸を張って、にーのの子供だって言えるようになる」
「うん…でも、今だって充分だよ?」
「え?」
「お前は俺の、かわいい恋人だし、かわいい子供だよ?」
「…うん…」
嬉しそうにはにかんで、下を向いた。
そっと手を伸ばすと、カズヤは俺の胸に飛び込んできた。
檸檬の香り…
ぎゅっと抱きしめると、一層濃くなる芳香。
「さあ…行っておいで。後で朝食持って行ってあげる」
「もう、お昼だよ…」
「一番目に食べるご飯が朝食です」
ぶーっとカズヤが噴き出した。