第14章 檸檬
「…こいつ…」
相葉さんがなんとも言えない顔で、カズヤを見つめた。
ドライヤーを止めて、カズヤを起こす。
「カズヤ?」
「んー…?」
「あのね。内藤、もう来ないからね?」
「え?」
徐々にカズヤの目が覚めてくる。
「ちゃんと話つけてきたからね?」
翔さんがカズヤの頬に触れる。
「え…どう、して…?」
「翔ちゃんと和が探して、話してくれたんだよ?」
相葉さんが後ろからぎゅっとカズヤを抱きしめた。
「話、聞いてくれたの…?パパ…」
「聞いてくれたよ。もう、大丈夫だからね…?」
「ほんとに…?」
「うん。だから、安心して大学いきな?」
「ほんと?」
「ほんとだよ。だから言ったろ?甘えていいって…」
「にーの…」
「カズヤは安心して、勉強するんだよ」
「うん…」
カズヤの目からぽろりと涙が一粒だけ零れた。
でも、それ以上は出なかった。
安心してまぶたを閉じて、そのまま寝息を立て始めた。
相葉さんの胸に凭れながら、とっても幸せそうな顔してる。
「ふふ…安心しちゃて…」
頬を撫でると、ちょっとだけくすぐったそうな顔をした。