第14章 檸檬
3人で甘いコーヒーを飲む朝。
「…内藤のこと、カズヤに伝える?」
相葉さんが口を開いた。
「ん…今は、いいんじゃないかな…」
「そうだな…」
「じゃあ、内藤はもう来ないってことだけ、伝えとくか」
「だね」
「…カズヤ、どう思うんだろ」
「ん?」
「内藤の話したらさ、どう思うんだろうね…」
「さあ…既に知ってるかもしれねえし…」
「あ、そっか」
「いや、言ってないと思うよ?内藤は…」
「なんでさ」
俺にはなんとなく内藤の気持ちがわかる気がした。
「カズヤには…自分の弱いところなんて、みせらんなかったと思うよ…」
俺も、カズヤには言ってない。
幼いころの自分の傷なんて、言えなかった。
「あなた達には、わからないと思う…」
「ニノ…」
「和…なんでだよ…」
相葉さんがぶすっとした表情をした。
「ん…?俺もね、カズヤだったからだよ」
そういうと、相葉さんは黙りこんだ。
「そっか…」
翔さんが立ちあがって俺を抱きしめてくれた。
「じゃあ俺、お前のお父さんになってやるよ」
「じゃあ俺、お兄さん」
相葉さんも俺を後ろから抱きしめた。
「ふふ…もう…大丈夫だよ…俺は」