第14章 檸檬
「おはよ…」
痛む身体を引きずって、キッチンに立ってる。
「コーヒー飲む?」
相葉さんがぼけっとしながら、ダイニングに座る。
「ん…飲みたい…」
サーバーからコーヒーを取ると、メイプルシロップを垂らす。
相葉さんの前にマグカップを置くと、にっこり笑ってくれた。
「ありがと」
一口飲むと、またにっこり笑った。
「甘いね」
「疲れてるからいいでしょ?」
「うん…ちょうどいい」
こくっと相葉さんがコーヒーを飲むのを見てると、幸せな気分になった。
「なに?」
「んーん。なんでもない」
「ヘンなヤツ」
くしゃっと髪を撫でられた。
俺もくしゃっとさらさらの髪をなでてやった。
「もう…」
苦笑いしながら、コーヒーをまた口に含んだ。
「おはよー…」
翔さんが頭にタオルを掛けてリビングに入ってきた。
「あれ?カズヤは?」
「風呂で寝そうだったから、寝室に置いてきた」
「若いって眠いもんよねぇ…」
「じじくさいからやめろ」
翔さんの前にもコーヒーを置いた。
「お、サンキュ」
一口含むと、にっこり笑った。
俺も、嬉しくなった。