第1章 しあわせはここにある-parallel-
バタバタと足音がする。
すごい人数が集まってきたのがわかった。
俺はでも殴られて動けない。
もうどうでもいいとすら思ってた。
丸裸で、汚いものにまみれて。
こんな姿、きっと誰も目にはいらないだろうって思った。
汚いから。
先輩たちの叫び声と、何かを殴る音が聞こえる。
俺はそんな騒然とした中、取り残されたように床に転がってた。
誰も、俺のこと見るな。
このまま放っておいてくれ。
もう、疲れた。
目を閉じて、音をずっと聞いていた。
バタバタと大人数の足音が遠ざかっていく。
しばらく静寂に包まれた。
誰かが俺の傍に立った。
でも動かない。
「大野さ…」
声が聞こえた。
見上げたら、ニノが立ってた。
蒼白な顔を俺に向けてた。
涙が一筋、頬を流れていった。
それを見た瞬間、一気に正気に戻った。
「やっ…」
俺は顔を隠した。
「やだっ…見るなーっ」
身体を丸めて、床に蹲る。
もう消えたかった。
……死にたかった