第2章 アザリア
「マジだよ…こんなこと冗談で言えるわけないだろ」
そっと俺の頬に触れた。
「翔も言って?」
「え…」
「俺のこと、どう思ってるの?」
「あ、え……す、き……」
そういうと、本当に心から嬉しいって顔をした。
こんな顔、見たことなかった。
潤が俺をぎゅっと抱きしめる。
「翔くん…嬉しい…」
俺は信じられない気持ちでいっぱいだったけど、潤の熱でだんだんわかってきた。
潤が俺のことすきなんだって。
つまり、俺達は両思いなんだって。
潤の背中に手を回す。
ぎゅっと抱きしめると、潤の腕にも力が入った。
潤に包み込まれて、俺は心底心が緩んだ。
長年の片思いが、やっと実った。
自分ですら欺こうとした恋が。
伏流水みたいに、やっと地上に出てきた。
さらさらと流れる水の音。
そのリズムに乗るように、潤が俺の身体をベッドに押し倒した。
「抱きたい…」
そう言うと、俺の唇からするっと潤が入ってきた。
俺はなんの準備もできてなかったけど。
自然とそれを受け止めていた。
潤に抱かれる。
それは俺を静かな興奮へと導いた。