第2章 アザリア
俺の胸板に、潤が顔を埋めた。
パジャマ越しに伝わる潤の体温が熱い。
その熱で、俺は溶けてしまいそうだった。
「…だから…」
ものすごいモスキートで聞き取れない。
「え?」
「お…」
「え?」
「俺も…」
「?」
「俺も…す」
「モス?」
「あーっ!!!もうっ!性に合わないっ!」
潤はガバっと起き上がると、俺を引っ張りあげて上半身を起こさせた。
「翔!好きだ!」
そのまま俺の唇に、手で触れた。
「キス。したい…」
甘えたような声を出した。
「え…?」
俺はこれは夢なんじゃないかと思った。
自分のほっぺをつねってみた。
痛い。
潤のほっぺをつねってみた。
「痛って!何すんだよっ!」
どうやら現実らしい。
「潤…?もう一回言ってみて?」
潤は溜息をついたあと、微笑んだ。
「好きだよ…翔くん」
「へ…」
潤の顔が近づいてきたと思ったら、俺の唇に潤の唇が触れた。
「翔くん…好きだよ…」
俺が納得するまで、何回も何回も潤は囁いてキスしてくれた。
10回目のキスのとき、やっと俺は、これが現実らしいと気づいた。
「あ?は?え?マジで?」