第2章 アザリア
潤の舌は、俺の気持ちいいところを舐めていった。
知らないうちに、俺はその舌に自分のそれを絡めてた。
だんだん息が苦しくなってくる。
でもやめられなかった。
唇が離れていくと、二人とも荒い息をしていた。
潤が俺を見つめる。
思わず俺も見つめ返す。
「翔くん…」
その唇が、何かを言いかけた瞬間、俺の口から思いもよらない言葉が飛び出した。
「潤……好き」
驚いた。
顔を見られなかった。
キスをしたら、全部の箍が外れてしまった。
言ってしまった。
ずっと見ないようにしてた、潤への気持ち。
ひた隠しにしてた、潤への気持ち。
俺は堪らなくなって、部屋に駆け戻った。
どこにも隠れる場所がなかったら、リビングの隅のソファの裏で蹲った。
傍の窓のカーテンを引っ張ってくるまった。
どうしていいかわからない。
どうしよう。
潤に嫌われてしまったら…
どうしよう
二度と俺に向かって微笑んでくれなくなったら
怖くなった。
思わず涙が出てきて、自分でも驚いた。
ずっとずっと黙っていたのに。
ずっと態度に出さないようにしてたのに。
なんでキスしたくらいで言っちゃったんだろ…