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カラフルⅡ【気象系BL小説】

第2章 アザリア


「もう行くの?」


「うん。熱、測りに来ただけだから…」


「わざわざそんなことのために?」


「そんなことって…俺にとっては大事なことだし」


「え?」


「…じゃあ、ゆっくり寝るんだよ?」


「…潤」


背中を向けた潤の手を、思わず取った。


「あ…」


潤が振り返って、不思議そうな顔で俺を見た。


「どうしたの?」


「…かないで…」


「え?」


「い、くなよ…」


誰かが俺の中に入って、勝手に喋ってるみたいだった。


「翔くん…」


潤が行ってしまうのが、本当に嫌だった。


傍に、居て欲しかった。


…抱きしめて欲しかった。


「…一人に…するなよ…」


そう言ったら、手を解かれた。


だめだった、と思った瞬間。


俺は抱きしめられた。


「…潤…」


「翔くん…熱で弱気になった…?」


「ううん…」


「どうしたの?」


潤の香水の匂いが、俺を刺激した。


潤の身体の熱が、俺を熱くした。


何かわからない感情が、俺を突き上げた。


「帰ってほしくない…だけ…」


なんとか、一言だけ言えた。


俺を抱く腕に、力が入った。

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