第2章 アザリア
楽屋に戻って、皆がストレッチとかしてる間に、俺はソファに横になった。
皆に見えないように、身体をソファの隅に縮こませて寝た。
目を瞑っていたら、頭のなかが揺れるような感覚があった。
ああ、熱あるな…
そうは思ったけど、どうにもならない。
解熱剤なんて飲んだら、噛んでしまうし。
このまま熱に身を任せてみよう。
そう思ってたら、額に冷たい感触がきた。
目を開けたら、潤がいつも使ってる氷嚢を俺の額に当ててた。
皆にみえないよう、身体の影にしてくれてる。
「少し、寝ちゃいなよ」
そう言ってタオルを頭に掛けてくれた。
「…さんきゅ…」
「ん。じゃあ俺、ステージいくね?」
「潤…」
「ん?」
「呼んだだけ…」
ふっと笑う気配がすると、潤が俺から離れていった。
そのまま俺は短い時間眠った。
目が覚めたら、少し機嫌が悪いのは治ってた。
熱は、わからない。
俺の体温計の潤がいないから。
潤はずっとステージで演出の打ち合わせをしてるらしい。
まあ、いい。
身体は動く。
声出しをしながら、ストレッチをする。
大丈夫。いける。
はず…