第2章 アザリア
潤はまだ寝ているみたいだから、DVDでも見ようと、ブルーレイを起動させた。
ディスクを読み込んだから、何が入ってるんだろ?と再生してみたら、12年の嵐フェスだった。
「お前、なんでこれみてたの?演出かなんかでまた使うの?」
「う…ん…?違う。翔のこと思い出してた」
寝ぼけ眼で可愛いことを言う。
そう、俺達が付き合い始めたのは、まさにこの時。
俺は最終日、何か機嫌が悪くて。
別に何があったわけじゃない。
ただ、なにかもやもやするものを腹に抱えてて。
楽屋に入るなり、黙りこんでしまった俺を、ニノと雅紀は遠くから見ている。
大野さんは全く意に介さず、俺に話しかけてくる。
ま、唯一の事務所の先輩だし。
こうやってんのが大野さん流の気の使い方だし。
そして、もう一人。
何の気にもしないで話しかけてくるヤツ。
それが潤だった。
「翔くん、おはよー。何?不機嫌?」
ズカズカと入ってくる。
昔から変わらない。
「っせーな…たまにはこんな日があったっていいだろ。女の子の日なんだよ」
「え?翔くん、生理あんの?」
「バーカ」
そんなことを言っていたら、ちょっと気分がほぐれた。