第2章 アザリア
リビングに戻ると、潤はまだソファで横になっていた。
「潤?本格的に寝るなら、ベッド行けよ?」
「…ん…もうちょっと…」
そう言うと、潤はお腹に載せていたクッションを掴んで抱きしめた。
ぎゅっと身体を丸め込んだ。
かわいすぎてめまいがする。
もういい年の大人になったのに。
体格だって、もう俺よりいいし。
俺はそっとソファに近寄って、床に座る。
潤の寝顔を眺めた。
起きているときは、俺でもびっくりするくらい激しい感情を見せることがある。
コンサートのときなんて、完全に他の追随を許さないくらい、演出を仕切る。
そんな男が、俺と居る時だけ子供みたいになる。
愛おしくてたまらない。
そっと頬を撫でると、少し笑った。
「…くすぐったい…翔…」
こんなに可愛いのに、何故かセックスの時は俺が女役だ。
なぜなんだろう…
それだけがずっと不思議で。
付き合い始めた時からこうだから、嫌とかじゃないんだけど…
気がついたら、いつも俺が押し倒されてる。
俺、いつも潤のこと可愛いなって思ってるのに…
潤も俺のこと可愛いなって思ってんのかな。
こんな三十路の喘ぐ姿なんて、なにがいいんだろ?