第10章 チャイニーズ・ローズ
取るものもとりあえず、部屋を飛び出した。
「翔くんっ…」
駆け寄ると、すぐに車に押し込められて。
乱暴にまた、発進させた。
「翔くんっ…翔くんっ…」
翔くんの伸ばした左手にすがりつく。
「潤…ごめんな…待たせた…」
「ごめんね…俺…」
「いいんだ…彼女を巻き込んだ時点で、わかってたことだ…」
翔くんが微笑んで、俺を見た。
「もう、なにも心配するな」
マンションについたら、翔くんがいたずらっこのような顔で、俺をみた。
「びっくりするなよ…」
ドアを開けたら、びっくりした。
「ど、どうしたの…?これ…」
部屋が、ちゃんと部屋になってた。
きちんと生活できるように、全て家具も揃ってた。
殺風景で寒かった部屋が、温かな部屋に変わってた。
そっと後ろから翔くんに抱きしめられた。
「潤と暮らすために…揃えた」
「翔くん…」
「よく…耐えたな…潤。がんばった」
「翔く…」
また、涙が零れて。
止まらなかった。
「たくさん泣けよ…」
ぐいっと頭を抱き寄せられた。
「ごめんな…つらい思いさせて…」