第10章 チャイニーズ・ローズ
身体の奥に甘い疼きを抱えたまま、翔くんに送られて家に帰った。
車を降りるとき、翔くんに腕を掴まれた。
「潤…」
「ん…?」
「あのマンション…」
「え?」
「一緒に、住もう」
「翔くん…」
「荷物、準備しとけ。迎えに来る」
「…いいの?」
「…最初から…そのために借りたんだ…」
「え?」
「早く、いけ」
照れたように顔を前に向けた。
「わかった…」
ハンドルに乗る手をぎゅっと握った。
「準備、しておくね」
翔くんがちらっと俺の顔をみると、頬を染めた。
「わかったから…いけ」
車を降りると、車はすぐに走りだした。
見えなくなるまで見送ると、玄関で鍵がないことに気づいた。
どうしよう…
スマホももってきてないし…
困っていたら、ドアが開いた。
『潤、入って』
彼女の声が聞こえた。
まだ、居たんだ…
戸惑いながらも部屋に上がる。
玄関までいくと、扉が開いていた。
リビングまで歩いて行くと、テレビを見ている彼女が居た。
「…助かったよ…なんにも持って出てなかったから…」
「だと思って待ってたよ」
「ありがと…」
どこまで彼女に迷惑かけたらいいんだ…俺…