第10章 チャイニーズ・ローズ
あの日…
翔くんのマンションで目覚めて。
翔くんは居なくなってて…
シャワーをしようと部屋を出た。
廊下の突き当りから、声が聴こえて思わず歩み寄った。
翔くんの低い笑い声が聞こえた。
誰かと電話しているようだった。
「成功したよ…?ああ…」
ドアを少し開けて、中を覗いた。
バスローブに身を包んだ翔くんが、機嫌よく電話していた。
「これでお前も彼女に遠慮なく、告れるだろ…?」
なんのことだろ…?
「じゃあ、報酬は…そうだな…デイドジャストでいいよ…」
高級な時計の名前を言いながら、嬉しそうに笑ってる。
こんな翔くんの顔、みたことなかった。
「潤…?ああ…そうだな…飽きるまで、飼っておくよ」
全身の血が凍りついた。
「いいよ…潤は…従順で…俺のこと、だいすきだからな…」
飽きるまで…飼う…?
従順…?
俺が…?
ふらふらになりながら、シャワーを浴びた。
頭から冷水を被っていたら、翔くんが入ってきて。
「なにやってんだお前!」
怒鳴りながらお湯に切り替えて。
俺を浴槽に入れた。
翔くん…
俺のこと、嵌めたの…?