第10章 チャイニーズ・ローズ
「最近、痩せた…?」
彼女が心配そうに、俺の手首を掴んだ。
「そう…?ちゃんと食ってるんだけどな…」
「ふふ…じゃあ、今日はたくさんごはん作るね」
「ありがと…」
彼女がキッチンに立つと、翔くんから着信が入った。
けど、俺はそれをソファに投げ出した。
ごめん…翔くん…
翔くんは、俺のこと愛していない…
わかってることだ…
だけど、だんだんそれが辛くなってきた。
身体を重ねるごとに、それを実感してきて…
最初は抱かれてるだけで良かった。
でも…だんだん欲張りになってくる。
翔くんを全部、自分のものにしたい。
翔くんの心も丸ごと…
俺のものにしたい。
でも…そんなこと…叶うはずもなく…
だんだん、心が擦り切れていった。
ただ、快楽に身を任せるだけの生活に疲れていった。
「ごめん…」
謝ると、苛立つ翔くんに殴られた。
なんでこないんだと責められて、楽屋で犯されそうになった…
なんで…?
なんで俺に執着するの…?
俺と彼女を別れさせて、満足なんじゃないの…?
だって…あれは…翔くんのゲームだったんでしょう…?