第10章 チャイニーズ・ローズ
一晩中、翔くんに抱かれた。
あの言葉を言った後、翔くんは何も言わない。
俺もなにも言わなかった。
ただ、お互いに身体を貪る音だけがあって。
ドロドロに融け合って、どっちがどっちだかわからなくなった頃、気を失った。
目覚めたら、また翔くんは居なくて…
一人で虚しく、翔くんがいたところを指でなぞった。
ここで…翔くんが…
何度も何度も俺の中で果てて…
何度も俺を手で受け止めてくれて…
その滑らかな肌を何度も舐めさせてくれて。
身体が熱くなる。
「翔くん…」
自分で、自分に触れる。
昨日、あんなに出したのに…
まだソコは熱くて。
「翔く…ん…」
また、視界が揺れ動いた。
あの言葉を言ってしまった。
翔くんが言えと言った、あの言葉。
もう、もしかしたら終わりかもしれない。
翔くんの望んだ言葉じゃなかったとしたら…
もう二度とここには呼ばれない。
もう二度と抱いてもらえないかもしれない。
また、諦めようか…
でも。
この心臓の熱さ…
埋めることができるだろうか。
「っく…翔くんっ…」
名前を呼びながら、また俺は果てた。