第10章 チャイニーズ・ローズ
「翔くんっ…」
熱い…身体が燃えるように熱かった。
翔くんが起き上がって、俺の手を取った。
ぐいっと引っ張られて、廊下のすぐ傍にあったドアに入れられた。
広い部屋に、ベッドがたったひとつ。
土足のままずかずかとベッドまで歩くと、俺を突き飛ばした。
バウンドして、ベッドに沈み込む。
目の前が揺れる。
翔くんの姿も、揺らめいていた。
それから起こったことが
夢だったのか現実だったのか
次の朝、目覚めるとベッドに一人、取り残されていた。
枕元に鍵が転がっていて。
またここに来いってことなのかな…
ぎゅっと鍵を握り締めると、気怠い身体を起こした。
「あ…」
昨夜の残滓が、流れ出てきた。
翔くんがここに入った証拠…
「翔くん…」
洗い流してしまうのが、もったいないな…
昨夜のことを思い出すと、赤面してしまうけど…
でもそれ以上に、翔くんに愛されたということが…その事実が俺を熱くした。
「翔くん…」
また名前を呼ぶ。
胸に埋めていた思い…
また、燃え出すのを止められない。
叫びだすように、心臓が高鳴った。