第10章 チャイニーズ・ローズ
なんのことだろ…
疑問に思いながらも、残っていた撮りに向かう。
ゲストさんと撮り終えて、楽屋に戻る頃には廊下も閑散としていて。
楽屋は真っ暗になってた。
「あれ…?楽屋使うんじゃなかったのか…?」
電気を半分だけつけて、着替え始めた。
コトリと物音がして振り向くと、翔くんが立ってた。
「わっ…びっくりした…居たの?」
うっすら笑うと、翔くんは近づいてきた。
「え…どうしたの…?」
いきなり襟首を引き寄せられて、頬を叩かれた。
「え…ちょっ…何すんの!?」
翔くんは微笑んだまま、身体を沈み込ませた。
と思ったら、目の前が真っ暗になった。
気がついたら、車の中で。
運転席に、翔くんが居た。
「え…なに…?」
問いかけても翔くんはこちらを見ない。
「翔くん…?」
信号で止まったと思ったら、翔くんの手が伸びてきて。
顎を掴まれたと思ったら、翔くんにキスされてた。
訳がわからなかった。
「んっ…うっ…」
なんとか抵抗して、身体を押し返そうとするけど、翔くんの手は力を緩めてくれない。
なんとか離れたと思ったら、なんでもない顔でまた車を走らせた。