第9章 きみどり scene4
「わかんな…止まらないの…」
智が蚊のなくような声で言う。
シーツを掴んで、ぎゅっと引き寄せて。
まるで女の子みたいな仕草に、また欲情しそうになった。
「智…まだ足りないの…?」
「ちがうの…心は充分だよ…?」
泣きそうな顔して、でもアソコは元気で…
「あ…」
もしかして、翔さん…
トントンとノックの音。
慌てて智に布団をかぶせる。
「ニノ。はいってもいい?」
「どうぞ…」
バスローブを引っ掛けると、ドアまで歩いて行く。
「ふーん…大丈夫?」
なんでもない顔してるけど、翔さんは笑いを堪えてる。
「翔さん…あんた…盛ったね?」
「え?なんのこと…?」
翔さんは俺に、濡れタオルを渡した。
「お風呂、お湯貯まってるから。お先にどうぞ」
しれっとした顔をして、寝室を出て行った。
あんにゃろ…
絶対、おかえししてやる…
「智…身体拭いてあげる…」
恥ずかしがる智をなんとか起きがらせて、身体を拭いた。
そこから漏れ出る俺も、丁寧に拭いた。
「お風呂、入れる?」
小さく頷くから、手を引いてバスルームへ向かった。