第9章 きみどり scene4
その時、ガラッと脱衣所のドアが開いた。
「ひゃああっ…」
二人で変な声を上げながら、離れた。
「いや…説得力ないけど…その悲鳴…」
翔さんが呆れた顔で立っていた。
「こっちがひゃあああだわ…」
そう言いながら、バスローブを取り出して俺に羽織らせた。
「そういう気分になっちゃった?」
にやりと笑うと、智の顔を見た。
「雅紀と潤には黙っててあげるから、寝室貸そうか?」
「ちょっ…そんな…」
「だって、智くん、つらそうだよ?」
「だめっ…」
「え?」
「俺、かずと約束してるの!今は、えっちしちゃだめなの!」
「智…」
「かずの身体、大事にするの!だめっ!」
真っ赤な顔して、泣きながら言う。
「智…明日も休みだよ…?」
「でもだめっ…約束したんだからっ…」
「しょうがないなぁ…」
翔さんが立ちあがった。
「今日は、智くんの誕生祝いなんだよ?」
「え…」
智が翔さんに抱き上げられた。
お姫様だっこで、運ばれていく。
「ニノ。おいで」
バスローブをひっかけながら、後をついていく。
スタスタと歩いて行った先は、寝室だった。