第9章 きみどり scene4
歌い終わると、しんとした。
「え…?あれ?」
智が隣からがばっと俺を抱きしめた。
「かずっ…!かずっ…!」
「えっ…?えっ…?」
「ありがと…」
小さな声で言うから、なんだかからかうこともできなくて。
智の腕に大人しく抱かれてた。
「そういえば、二人が付き合いだしたのは…夏の…あれ。始まりか」
「夏の終わりじゃなかったよね…」
「あ、でもさ。宮城って智くんのお父さんの故郷でしょ?方言、宮城に行って聞いて、なんか琴線に触れたとか?」
「ああ~だから風見鶏なのか~」
勝手になにやら3人が話し始めた。
けど、一向に智の腕が緩むことはなくて。
「未来になったんだね…」
潤の鼻声が聞こえた。
それきりリビングはしーんとして…
潤がなんだか鼻を鳴らしてて。
つられて相葉さんまでなんだがぐずぐずしてる。
「なんだよ…お前ら…こっちこい?」
翔さんが腕を広げると、二人して胸に飛び込んでいった。
うお…
なんか…恥ずかしいからやめろ…
って、俺達も恥ずかしいことしてんのか…
「さ、さと…?」
「ん…?」
「皆の前だよ…?」
「あ…」
そういうと、ぱっと身体を離した。
「ご、ごめん」